Question
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全ての顧客について顧客リスク評価を行う」とありますが、例えば、長期不稼働口座については、その他の属性の如何にかかわらず、また、改めて属性を確認することなく、低リスクと見做した上で通常の顧客管理とは異なる取扱いを行い、口座が稼働し始めた時点で高リスク先と評価した上で厳格な顧客管理を実施することとし、その一環として顧客情報の更新を実施することで問題ないでしょうか
本ガイドラインは、全ての顧客について、金融機関等によるマネロン・テロ資金供与リスクの特定・評価の結果を総合して、顧客リスク評価をすることを求めるものですが、具体的な対応策については、その取引や顧客の状況に応じて、個別具体的に判断する必要があります。例えば、長期不稼動口座を保有する顧客について、長期にわたって取引がなされていない点に着目してそのリスクを評価した場合、口座残高に異動がない場合は低リスクと評価されますが、急に取引が開始された場合や新たに小口の資金移動が発生した場合には、システム等によって速やかに検知し、その理由を確認する必要があると考えます。その前提として、長期不稼働口座が稼働した場合には、その金額の多寡を問わず検知できる体制を設けることが必要と考えます。また、このような不稼働口座が動き出した場合には、口座の譲渡・貸与等が行われた可能性もあり、この点を考慮してまずは顧客リスク評価を実施し、直ちに厳格な顧客管理(EDD)を行う必要があるか否かを検討する仕組みを構築することが考えられます。
金融庁
https://www.fsa.go.jp/news/r4/202208_amlcft_faq/202208_amlcft_faq.pdf
地域や職域、事業体等で構成された会員・組合員の相互扶助を目的とした小規模の協同組織金融機関では、顧客がある意味限定され、かつ、対面による緊密な取引が行われ、相当程度顧客情報は把握できています。その場合に、顧客管理の方法としては、全ての顧客について、例えば、組合員とそれ以外、あるいは、法人と個人、生活口座として利用する顧客とそれ以外、といったような形で類型仕分けを行い、その類型ごとにリスク評価し、それに応じた対応を行うことは許容されると考えて良いのでしょうか。
金融機関等の規模・特性や業務実態等に照らしたリスク評価を踏まえ、リスクが限定されるといえる場合には、組合員と非組合員、法人と個人、生活口座として利用する顧客とそれ以外の目的で口座を利用する顧客といった観点で類型化し顧客リスク評価を行うことが可能である場合も考えられます。例えば、金融機関等の業務内容からしてリスクが低い特性を有し、顧客が会員・組合員に限定されていて、担当者が各顧客の実態について適切に把握できるのであれば、「顧客の類型」に依拠した顧客リスク評価も妥当であると考えられます。
金融庁
https://www.fsa.go.jp/news/r4/202208_amlcft_faq/202208_amlcft_faq.pdf
「比較的リスクの高い顧客群」「低リスクと思われる顧客群」という区分の仕方からスタートし、数年かけて顧客情報を収集・累積・分析した上で、「リスク高」「リスク中」「リスク低」のように評価を詳細化して、継続的管理を高度化させていく進め方でも問題ないでしょうか。
顧客リスク評価については、まずは各金融機関等が保有する顧客情報に基づいてリスク評価を行い、当該評価結果に応じた継続的な顧客管理を実施していく過程で顧客情報を更新していくという手法が考えられます。このような過程において、当初は高リスク類型・低リスク類型といった2段階で顧客リスク評価を行い、より詳細な評価へと高度化させていくという手法が適切な場合も考えられますが、いずれにしても、具体的な対応策については、金融機関等の規模・特性に応じて個別具体的に判断されることとなります。しかしながら、数年かけて顧客情報を収集・累積・分析していく場合には、計画を策定の上、当該計画に基づく進捗管理を行うべきと考えられます。
金融庁
https://www.fsa.go.jp/news/r4/202208_amlcft_faq/202208_amlcft_faq.pdf
リスク評価を行う顧客類型について、どのような類型があるのでしょうか。また、リスクの高い顧客類型はどのような類型があるのでしょうか。
各金融機関等によるリスク評価の際に行う顧客類型ごとの分析方法は、金融機関等の業務全体から見たリスク状況によって異なりますが、例えば、顧客属性に着目したものとしては、反社会的勢力や制裁対象者については原則取引不可先とした上で、過去に疑わしい取引の届出対象となった顧客や不正に口座を利用している疑いのある顧客のほか、不芳情報を把握した顧客等については高リスク先として管理することが考えられます。このほか、例えば、取引内容や状況により分類する方法としては、高リスクと評価した商品・サービスを利用している顧客を一つの類型として、高リスク先として管理することも考えられます。また、休眠口座、長期不稼働口座については(これらの口座が稼働するまでは)低リスク先と評価する一方、公的書類又は他の信頼できる証明書類等に基づき本人特定事項を確認できていない既存顧客の口座や、個人の顧客名義であるものの法人により利用されている口座、不正に利用されている口座等の類型については、高リスク先と評価した上で、あらかじめ明確化された方針にしたがって顧客情報の調査を実施することが考えられます。なお、国や地方公共団体については、一律で低リスクとすることも可能と考えます。ただし、国・地方公共団体が運営する団体等については、設立経緯、その取引内容、国・地方公共団体との親密度や業務内容を勘案した上で、低リスクとすることも可能と考えます。
金融庁
https://www.fsa.go.jp/news/r4/202208_amlcft_faq/202208_amlcft_faq.pdf
顧客として在留外国人を受け入れている場合について、留意すべき点を教えてください。
在留期間の定めのある在留外国人についても、リスクベースで、顧客リスクに応じて顧客管理を実施していただく必要があるものと考えます。そして、在留外国人の場合を含め、将来口座の取引の終了が見込まれる場合には、当該口座が売却され、金融犯罪に悪用されるリスクを特定・評価し、適切なリスク低減措置を講ずる必要があります。在留期間の定めのある外国人顧客については、リスク低減措置として、在留期間を確認の上、顧客管理システム等により管理し、顧客の在留期間満了前において、当該顧客が在留期間を更新しない場合は在留期間満了前に口座を解約すること、及び当該顧客が在留期間を更新する場合は更新後の在留期間を届け出ることを改めて要請する必要があります。在留期間の更新が確認された場合には再度顧客管理システムへの登録を行う一方、更新が確認できないなどリスクが高まると判断した場合には、取引制限を実施するなどのリスク低減措置を講ずることが考えられます。いずれにしても、自らの直面するリスクを踏まえ在留期間の定めのある顧客の管理方法を決定する必要があり、リスクベースの適切な検討を経ることなく、在留期間満了前に以上のような要請を実施しないこととすることは、適切ではないものと考えます。特別永住者や永住者については、このような在留期間に基づくリスク自体はないものと考えられますが、他の顧客と同様に顧客リスク評価は必要になります。なお、在留カードを所持している在留外国人が、在留期間更新許可申請又は在留資格変更許可申請(以下「在留期間更新許可申請等」といいます。)を行った場合において、当該申請に係る処分が在留期間の満了の日までになされないときは、当該処分がされる時又は在留期間の満了の日から二か月が経過する日が終了する時のいずれか早い時までの間は、引き続き従前の在留資格をもって我が国に在留できることとされているところ、在留期間更新許可申請等を行った場合、在留カード裏面の「在留期間更新等許可申請欄」に申請中であることが記載されます(オンラインによる申請の場合を除く。)。リスクに応じた対応を検討する場合には、こうした制度の存在に留意することが必要と考えます。
金融庁
https://www.fsa.go.jp/news/r4/202208_amlcft_faq/202208_amlcft_faq.pdf
国内 PEPs の顧客管理についてはどのように考えれば良いでしょうか。
国内 PEPs についても、口座開設時、継続的顧客管理等の過程において得た情報等に基づき、他の顧客と同様に顧客リスク評価を行い、リスクに応じた対応を行うことが重要と考えます。
金融庁
https://www.fsa.go.jp/news/r4/202208_amlcft_faq/202208_amlcft_faq.pdf
「マネロン・テロ資金供与リスクが高いと判断した顧客」とは、犯収法第4条第 2項前段に規定する厳格な顧客管理を行う必要性が特に高いと認められる取引等(以下本質問において「高リスク取引」といいます。)を行う顧客を指すのでしょうか。あるいは、それに加えて、又は別途に「高リスク取引」を行わない高リスク顧客を指すのでしょうか。
本ガイドラインⅡ-2(3)(ⅱ)【対応が求められる事項】⑦に定める「マネ ロン・テロ資金供与リスクが高いと判断した顧客」とは、金融機関等において策 定した顧客の受入れに関する方針等に基づき、必要な情報を確認・調査した結果、受入段階においてマネロン・テロ資金供与に係るリスクが高いと判断された顧 客のほか、受入後、継続的な顧客管理措置の中で、リスク評価を見直した際に、 あらかじめ定められた方法で高リスクと判断された顧客を意味します。なお、犯収法上の高リスク取引を行う顧客について、法定の各項目を確認することは、法令対応として、最低限対応が必要な措置であると考えます。
金融庁
https://www.fsa.go.jp/news/r4/202208_amlcft_faq/202208_amlcft_faq.pdf
リスクの評価によっては、金融機関等の特定取引(犯収法施行令第7条。顧客管理を行う上で特別の注意を要する取引(同法施行規則第5条)を含みます。)の際に実施する取引時確認、厳格な顧客管理を行う必要性が特に高いと認められる取引(同法施行令第 12 条)の際に実施する取引時確認以上のことが求められるケースもあるのでしょうか。
リスクベース・アプローチによる顧客管理においては、犯収法等の法令に定める取引時確認は、最低限の対応ですので、それに加えて、何らかの追加的措置を講ずることは必然的にあり得るものと考えます。いずれにせよ、各金融機関等には、その規模や特性等に応じて、本ガイドラインの趣旨に沿った適切な対応が求められています。
金融庁
https://www.fsa.go.jp/news/r4/202208_amlcft_faq/202208_amlcft_faq.pdf
「上級管理職」とはどのようなポジションを想定しているのでしょうか。犯収法第 11 条第3号が定める統括管理者と同義なのでしょうか。
本ガイドラインにおける「上級管理職」には、例えば、マネロン・テロ資金供与対策に従事する部門の長等が含まれ得ると考えていますが、各金融機関等の規模や組織構造等に応じて、個別具体的に判断する必要があります。なお、犯収法第 11 条第3号が定める「統括管理者」とは必ずしも同義ではありません。
金融庁
https://www.fsa.go.jp/news/r4/202208_amlcft_faq/202208_amlcft_faq.pdf
「当該顧客が行う取引に係る敷居値の厳格化等の取引モニタリングの強化や、定期的な顧客情報の調査頻度の増加等を図る」とは具体的にどのような対応が求められているのでしょうか。
全顧客に対して実施されている顧客リスク評価の結果を踏まえ、高リスク顧客に対しては、取引モニタリングの敷居値を厳格にする、高リスク顧客向けのシナリオを適用するなど、個別的な対応を実施することが考えられます。対して、低リスク顧客については、敷居値やシナリオの適用を簡素化するということが考えられます。このほか、定期的な顧客情報の更新において収集する情報の内容、種類及び粒度等を変更するなどの対応が考えられます。
金融庁
https://www.fsa.go.jp/news/r4/202208_amlcft_faq/202208_amlcft_faq.pdf
「属性等が類似する他の顧客につき、顧客リスク評価の厳格化等が必要でないか検討すること」とは、具体的にどのような対応が求められているのでしょうか。
顧客リスク評価の結果、高リスク先と判断された顧客について、商品・サービス、取引形態、国・地域、顧客属性等について内容を確認した後、他の顧客について、高リスク先と判断された顧客と類似又は共通する項目等がないかを確認し、当該他の顧客についても、顧客リスク評価を見直す必要性について検討することが考えられます。
金融庁
https://www.fsa.go.jp/news/r4/202208_amlcft_faq/202208_amlcft_faq.pdf
「顧客の営業内容、所在地等が取引目的、取引態様等に照らして合理的ではない」とは、どのような場合をいうのですか。
例えば、合理的な理由なく事業所と金融機関等との取引場所が離れている遠隔地取引の場合や、送金依頼人が輸入者や商取引の支払人とは別の第三者であって、第三者が送金することに合理的な理由が認められない場合のほか、取引の内容が顧客から申告を受けている営業内容等の情報と整合しない場合等の高リスクと認められる取引のことを指します。
金融庁
https://www.fsa.go.jp/news/r4/202208_amlcft_faq/202208_amlcft_faq.pdf
「顧客の営業内容、所在地等が取引目的、取引態様等に照らして合理的ではない」場合において、想定している追加的な措置があれば教えてください。
顧客の営業内容、所在地等が取引目的、取引態様等に照らして合理的ではない場合においては、証跡を徴求しつつ合理的な説明を求めることや、金融機関等において、顧客への訪問又は実地調査を実施することも考えられますが、少なくとも、このようなリスクの高い場合においては、営業実態や所在地の把握は必須であると考えます。その上で、顧客からの協力が得られない場合等には、合理的ではない事項が明確になるまで、一定の取引について上級管理職等の承認等の手続を行うことが必要と考えられますが、いずれにせよ、リスクが高い取引等に対する追加的な措置については、当該取引の特性・リスク等に応じて、個別具体的に判断することになります。
金融庁
https://www.fsa.go.jp/news/r4/202208_amlcft_faq/202208_amlcft_faq.pdf
「リスクに応じた簡素な顧客管理(SDD)」とは、具体的にどのような措置をいうのでしょうか。
本ガイドラインにおける「リスクに応じた簡素な顧客管理(SDD)」とは、顧客リスク評価の結果、「低リスク」と判断された顧客のうち、一定の条件を満たした顧客について、DM 等を送付して顧客情報を更新するなどの積極的な対応を留保し、取引モニタリング等によって、マネロン・テロ資金供与リスクが低く維持されていることを確認する顧客管理措置のことをいいます。
金融庁
https://www.fsa.go.jp/news/r4/202208_amlcft_faq/202208_amlcft_faq.pdf
「リスクに応じた簡素な顧客管理(SDD)」について、犯収法上の「簡素な顧客管理」(犯収法施行令第7条第1項柱書及び犯収法施行規則第4条第1項柱書)とは何が異なるのでしょうか。
SDD は、犯収法上の「簡素な顧客管理」とは異なる概念です。SDD は、主として顧客情報の更新の場面を問題にしているものであり、継続的な顧客管理を行う上での実態把握やリスク評価の見直しの際に行う措置を意味しています。犯収法上の「簡素な顧客管理」のように、取引時確認等の場面に適用されるものではありません。
金融庁
https://www.fsa.go.jp/news/r4/202208_amlcft_faq/202208_amlcft_faq.pdf
「リスクに応じた簡素な顧客管理(SDD)」を行う対象を整理するに当たっての留意点を教えて下さい。
「リスクに応じた簡素な顧客管理(SDD)」を行う対象は、一般的に、なりすま しや不正利用等のリスクが低いことが考えられる顧客や口座を想定しています。その上で、以下の点に留意することが必要と考えており、当庁としては、以下の①から⑥及び(注1)から(注3)に即している限り、SDD の対象とすることが可能と考えます。 ① 法人及び営業性個人の口座は対象外であること(注1) ② 全ての顧客に対して、具体的・客観的な根拠に基づき、商品・サービス、取引形態、国・地域、顧客属性等に対するマネロン・テロ資金供与リスクの評価結果を総合して顧客リスク評価を実施し、低リスク先顧客の中から SDD 対象顧客を選定すること ③ 定期・随時に有効性が検証されている取引モニタリングを活用して、SDD対象口座の動きが把握され、不正取引等が的確に検知されていること ④ SDD 対象顧客については、本人確認済みであること(注2) ⑤ SDD 対象顧客は、直近1年間において、捜査機関等からの外部照会、疑わしい取引の届出及び口座凍結依頼を受けた実績がないこと ⑥ SDD 対象顧客についても、取引時確認等を実施し、顧客情報が更新された場合には、顧客リスク評価を見直した上で、必要な顧客管理措置を講ずること(注3) (注1)法人や営業性個人は、取引関係者や親子会社等、関与する者が相当に多いことが一般的であり、法人や営業性個人の行う取引に犯罪収益やテロリストに対する支援金等が含まれる可能性が相応にあるものと考えられるため、SDD 対象とすることは相当ではないと考えます。 (注2)④の「本人確認済み」とは、基本的には、2016 年 10 月の改正犯収法 施行以降に同法に基づく取引時確認を実施したことを意味しています。また、1990 年 10 月1日以降に取引を開始した顧客についても、当時の規制等に沿った手続が確認されれば、「本人確認済み」と整理することは可能であると考えます。一方で、1990 年 10 月1日より前に取引を開始した顧客については、公的又は他の信頼できる証明書類等に基づき、氏名、住所及び生年月日を確認した証跡が存在しない限り、「本人確認済み」と整理することはできないものと考えます。 (注3)⑥については、SDD 対象顧客に対して顧客リスク評価の見直しを実施した場合に、再度SDD 先と整理することを妨げるものではありません。
金融庁
https://www.fsa.go.jp/news/r4/202208_amlcft_faq/202208_amlcft_faq.pdf
具体的には、どのような顧客について、「リスクに応じた簡素な顧客管理(SDD)」とする余地があるのでしょうか。
当庁としては、の記載の①から⑥の留意点及び(注1)から(注 3)に即している限り、SDD 対象とすることが可能であると考えます。多くの場合は、経常的に同様の取引を行う口座であって保有している顧客情報と当該取引が整合するもの(給与振込口座、住宅ローンの返済口座、公共料金等の振替口座その他営業に供していない口座)等については、記載の①から⑥の留意点及び(注1)から(注3)に即していると考えられますが、いずれにしても、個々の顧客について記載の①から⑥の留意点及び(注1)から(注3)に即しているか検証した上で、SDD 対象の顧客を判断することが必要になるものと考えます。
金融庁
https://www.fsa.go.jp/news/r4/202208_amlcft_faq/202208_amlcft_faq.pdf
「リスクに応じた簡素な顧客管理(SDD)」を実施することとした場合、どのような管理を実施することになるのでしょうか。
本ガイドラインにおける「リスクに応じた簡素な顧客管理(SDD)」とは、顧客リスク評価の結果、「低リスク」と判断された顧客のうち、一定の条件を満たした顧客について、DM 等を送付して顧客情報を更新するなどの積極的な対応を留保し、取引モニタリング等によって、マネロン・テロ資金供与リスクが低く維持されていることを確認する顧客管理措置のことをいいます。SDD 対象とした顧客であっても、特定取引等に当たって顧客との接点があった場合、不芳情報を入手した場合、今までの取引履歴に照らして不自然な取引が行われた場合等には、必要に応じて積極的な対応による顧客情報の更新を実施し、顧客リスク評価の見直しを行うことが必要になるものと考えます。特に、公的書類等の証跡が不足している SDD 対象顧客が来店した場合等、本来更新すべき情報を最新化する機会があれば、当該機会を活用し、必要な情報更新を実施する態勢を構築することが必要であるものと考えます。2016 年 10 月に施行された改正犯収法施行規則に定める方法により、本人特定事項(実質的支配者を含む)、取引目的及び職業等を確認することができていない顧客については、時機を捉えて、同規則に定める方法で確認することが考えられます。
金融庁
https://www.fsa.go.jp/news/r4/202208_amlcft_faq/202208_amlcft_faq.pdf
上場企業等や、国・地方公共団体等については、SDD の対象にはなり得ないのでしょうか。これらの顧客を SDD 対象としない場合、どのように顧客管理することが考えられますか。
上場企業等や国・地方公共団体等は基本的には SDD 対象とはなりません。 上場企業等、法律上の根拠に基づく信頼性のある情報が定期的に公表されている場合(有価証券報告書等)には、当該情報を基に顧客リスク評価を実施し、当該リスク評価に応じたリスク低減措置を実施することも考えられます。また、国・地方公共団体及びその関連団体(法律上の根拠に基づき設立・資金の運用が実施されている団体等)については、定期的な情報更新までは不要と考えますが、犯収法第 11 条柱書に則った対応をする必要はあるものと考えます。
金融庁
https://www.fsa.go.jp/news/r4/202208_amlcft_faq/202208_amlcft_faq.pdf
継続的な顧客管理を導入する際、これまで管理を行っていない既存顧客等はどのように取り扱えばよいでしょうか。
継続的な顧客管理の実施には、前提として、商品・サービス、取引形態、取引に係る国・地域、顧客属性等のリスクを包括的かつ具体的に検証して得られたリスク評価を踏まえ、全顧客に顧客リスク評価がなされていることが必要となります。既存顧客に対する顧客リスク評価は、既存の顧客情報に基づく暫定的な顧客リスク評価を行った上、最新の顧客情報に基づいて当該仮の顧客リスク評価を見直し、そのリスクに応じた頻度により、あるいは、随時に顧客情報を更新する必要があります。
金融庁
https://www.fsa.go.jp/news/r4/202208_amlcft_faq/202208_amlcft_faq.pdf
継続的な顧客管理を実施する際の「調査」する情報について、具体的な内容を教えてください。例えば、本人特定事項や取引目的、職業、事業内容等の再確認がこれに該当するとの理解でよいでしょうか。
まず、「調査」の目的は、調査結果を踏まえて顧客リスク評価を見直すことにより、実効的なリスク低減措置を講ずることにあります。そのため、個別の顧客について、保有している全ての情報を一律に更新することは、必ずしも必要ではなく、同顧客について、リスク管理上必要な情報を調査することが必要となります。調査すべき情報としては、ご指摘の例のほか、顧客のリスクに応じて、例えば、顧客及びその実質的支配者の資産・収入の状況、資金源等が含まれ得るものと考えます。また、申告されている属性から判断した資産・収入に比べて、入出金金額が不自然に高額な場合には、疑わしい取引の届出の対象として検証する仕組みの構築が求められます。いずれにせよ、いかなる項目を調査対象とするかについては、対象となる顧客の顧客リスク評価や取引の特性等に応じて、個別具体的に判断することになりますが、顧客リスク評価に必要な情報を収集するために必要な調査を実施することが求められています。なお、継続的顧客管理における顧客情報の更新については、顧客に対してより一層丁寧な説明を行うことが必要になるものと考えます。
金融庁
https://www.fsa.go.jp/news/r4/202208_amlcft_faq/202208_amlcft_faq.pdf
継続的な顧客管理を実施する際の「調査」について、どのような手法が考えられますか。
「調査」の目的は、調査結果を踏まえて顧客リスク評価を見直すことにより、実効的なリスク低減措置を講ずることにあります。例えば、郵送物を送付し、顧客から回答を得る方法が一般的ではありますが、そのほか、支店等における対面での対応や、アプリを利用する方法等、リスクに応じた対応が考えられます。いずれにせよ、金融機関等において、リスクに応じて、調査の目的を達成できる手段を検討・実施することが必要となります。
金融庁
https://www.fsa.go.jp/news/r4/202208_amlcft_faq/202208_amlcft_faq.pdf
「調査の対象」については、どのように考えればよいのでしょうか。
顧客リスク評価に応じて実施されている調査の範囲・手法等が、当該顧客の取引実態や取引モニタリングの結果等から得られる内容と比較して適切であることが維持されるよう、内部監査部門(第3線)や管理部門(第2線)が、継続的に確認し、必要に応じて、調査の範囲・手法等を見直し、顧客リスク評価を変更することも含む対応が検討される態勢を構築することが求められます。
金融庁
https://www.fsa.go.jp/news/r4/202208_amlcft_faq/202208_amlcft_faq.pdf
「調査の過程での照会や調査結果を適切に管理し、関係する役職員と共有すること」とは具体的にどのような対応が求められているのでしょうか。
顧客に対する調査等で得られた情報については、部門間、部署間の情報格差をなくし、効率的かつ実効的なマネロン・テロ資金供与対策を実施するため、所管部署で情報を囲い込むのではなく、各種法令等を遵守しつつ、必要に応じて金融機関等の関係する役職員と適切に共有することが求められます。
金融庁
https://www.fsa.go.jp/news/r4/202208_amlcft_faq/202208_amlcft_faq.pdf
定期的な確認を求められる「顧客情報」とはどの範囲を指すのか教えてください。
定期的な確認項目や頻度については、リスク評価を適切に行うために必要な情報であり、対象となる顧客の特性・リスク等に応じて、個別具体的に判断することになります。この点、例えば、高リスク顧客については、通常の顧客における確認項目に加えて、定期的に、例えば1年ごとに、資産・収入の状況、資金源、商流等を確認した上で、更にリスクが高まったと想定される場合については、個別に確認を実施することなどが考えられます。これに加えて、各金融機関等において設定した確認項目や頻度が実効的なものとなっているかを含め、実施状況につき検証を行い、必要があれば見直しを行う態勢とすることも求められます。
金融庁
https://www.fsa.go.jp/news/r4/202208_amlcft_faq/202208_amlcft_faq.pdf
定期的な顧客情報の確認方法に関して、犯収法にて顧客からの申告による確認が認められるケース(例えば通常の特定取引時における「実質的支配者」の確認等)については、顧客情報の更新確認は顧客からの申出ベースによる確認で認められるとの理解で良いでしょうか。
本ガイドラインには、顧客及びその実質的支配者の本人確認事項等の調査において、「信頼に足る証跡」を求める旨の記載がありますが、これは、顧客の申告の真正性等を確認するため必要な証跡を求める趣旨であって、あらゆる確認事項に対して、一律に書面での証跡を求めるものではありません。いずれにせよ、リスクに応じた頻度での定期的な確認についても、単一の法令・ガイドライン等で求められる最低水準を画一的に全ての顧客に当てはめるのではなく、リスクに応じて証跡を求めて確認を行うといった対応が求められます。
金融庁
https://www.fsa.go.jp/news/r4/202208_amlcft_faq/202208_amlcft_faq.pdf
顧客情報の「定期的な確認」との記載は、リスクが低いと判断し、簡易な顧客管理方針とした顧客についても全て、マネロン防止対策の目的をもって、本人特定情報や顧客管理情報等の再確認を行うために、顧客とコンタクト(電話や郵送等)を取り、ヒアリングや資料提供を依頼することを想定しているのでしょうか。それとも、こうした顧客については、全先に対してコンタクトを取らず、顧客属性データ、取引履歴データのほか、(もしあれば)これまでの気付き状況のみで判断するといった対応でも問題ないのでしょうか。
継続的な顧客管理については、リスクが低いと判断した顧客も含む全ての顧客をその対象とすることが求められますが、全ての顧客に一律の時期・内容で調査を行う必要はなく、顧客のリスクに応じて、調査の頻度・項目・手法等を個別具体的に判断していただく必要があります。顧客との店頭取引やインターネット取引等、各種変更手続等の際に顧客が金融機関等のホームページ等にアクセスする場合のほか、定期又は随時に顧客を訪問するなどの場合に、こうした機会を捉えて、マネロン・テロ資金供与対策に係る情報も確認されているのであれば、そのような実態把握をもって、継続的な顧客管理における顧客情報の確認とすることも考えられます。ただし、高リスク顧客の中には、営業実態の把握や実地調査、顧客に対して対面で確認することが必要な場合もあることから、リスクに応じた対応が必要であることに留意すべきと考えます。
金融庁
https://www.fsa.go.jp/news/r4/202208_amlcft_faq/202208_amlcft_faq.pdf
「確認の頻度を顧客のリスクに応じて異にすること」とありますが、どのような頻度を想定しているのでしょうか。また、情報の網羅的な更新を求めるものではなく、例えば現住所地等一定の情報に着目し、リスク評価を変更する契機とすべき事象が生じていないかを確認し、当該事象が発生している場合にのみ、深度ある確認を実施しようとすることで良いでしょうか。
継続的な顧客管理については、顧客に係る全ての情報を更新することが常に必要となるものではなく、顧客のリスクに応じて、調査の頻度・項目・手法等を個別具体的に判断していただく必要があります。一般的には、高リスク先については1年に1度、中リスク先については2年に 1度、低リスク先については3年に1度といった頻度で情報更新を行うことが考えられます。これ以上、期間を延ばす場合には、合理的かつ相当な理由が必要になるものと考えます。また、更新する情報は、顧客リスク評価の見直しをするために必要な範囲 で、個別具体的な事情に照らして判断していただく必要があります。情報更新に際しては、信頼できる公開情報を参考にすることもあり得ますし、顧客に対面で確認するべき場合もあり得るものと考えます。なお、継続的顧客管理において、顧客リスク評価の見直し手続に係る期日管理や期日までに見直しができない顧客の管理、期日超過分の速やかな解消については、第1線と第2線が連携し、適切な管理が行われることが重要であり、期日超過の管理状況については、定期的に経営陣に報告され、解消のための措置を講ずることが期待されます。
金融庁
https://www.fsa.go.jp/news/r4/202208_amlcft_faq/202208_amlcft_faq.pdf
顧客属性や取引類型を踏まえて、まず「高リスク先」とした顧客について、その後に情報更新を行った結果、中リスク先あるいは低リスク先と判断することもあり得るのでしょうか。
顧客リスク評価は定期又は随時に見直しをしていただく必要性があるところ、「見直し」には、上方遷移及び下方遷移のいずれもあり得るものと考えます。したがって、一度高リスク先と評価した顧客について、その後、取引内容等が変化したことや追加情報を得たことなどによって、当該顧客の顧客リスク評価を、中程度のリスクと評価することもあり得るものと考えます。もっとも、こうした顧客リスク評価の見直しのためには、適切に顧客の実態を把握する必要がありますので、引き続き、顧客の実態調査の質の向上に努めていただく必要があります。
金融庁
https://www.fsa.go.jp/news/r4/202208_amlcft_faq/202208_amlcft_faq.pdf
「顧客リスク評価を見直し、リスクに応じたリスク低減措置を講ずること」とは、具体的にどのような措置が求められていますか。
リスクに応じたリスク低減措置とは、EDD、CDD、SDD というように顧客管理の方法を変更するのみならず、取引モニタリングにおける敷居値やモニタリングシナリオを変更したり、取引時に調査する顧客情報の収集の内容・方法を変更したりするなどの措置を講ずることが求められています。
金融庁
https://www.fsa.go.jp/news/r4/202208_amlcft_faq/202208_amlcft_faq.pdf
「顧客リスク評価を見直し、リスクに応じたリスク低減措置を講ずること」に関して、顧客が調査に応じることができない場合においては、どのように顧客リスク評価を見直すことが考えられますか。
調査に応じてもらえない場合や、郵送物が届出住所に到達しない場合には、そうした事実や、取引履歴データ等も踏まえて、例えば、顧客リスク評価を高リスクとすることが考えられます。定期的に情報を更新することが必要な顧客について、取引履歴データ等を踏まえて顧客リスク評価の見直しを検討する場合には、各金融機関等において、調査に応じてもらえない顧客であることや、郵送物が届出住所に到達しない顧客であること等について、適切に判断できるだけの検証を行うことが必要となるものと考えます。また、高リスク顧客の中には、営業実態の把握や実地調査、顧客に対して対面で確認することが必要な場合もあり得るため、顧客リスク評価の見直しの方法についても、リスクに応じて検討・判断することが必要であるものと考えます。なお、高リスク顧客に限らず、特に届出住所宛ての郵送物が届かない顧客につ いては、本人特定事項の一部が不明であることとなります。特に、こうした状態の顧客のうち連絡を取ることもできず、かつ、口座も不稼働状態となっていない場合には、届出住所宛ての郵送物が届かない状態を解消するための施策を優先的に講ずることが必要であると考えられます。
金融庁
https://www.fsa.go.jp/news/r4/202208_amlcft_faq/202208_amlcft_faq.pdf
「取引モニタリングにおいては、継続的な顧客管理を踏まえて見直した顧客リスク評価を適切に反映すること」とは具体的にどのような対応が求められているのでしょうか。
取引モニタリングについては、顧客リスク評価と適切に連動させるため、モニタリングシナリオや敷居値を変更するなどの対応が求められます。
金融庁
https://www.fsa.go.jp/news/r4/202208_amlcft_faq/202208_amlcft_faq.pdf
新規顧客に対する口座開設の謝絶や、既存顧客に対する口座解約、取引制限もここにいう「リスク遮断」に含まれると考えて良いでしょうか。謝絶等の対象となる取引に、口座開設のほか、為替、入出金、両替は該当しますか。
本ガイドラインⅡ-2(3)(ⅱ)【対応が求められる事項】⑪は、検討対象となる顧客や取引を限定しているわけではないため、いずれも排除されるものではありません。
金融庁
https://www.fsa.go.jp/news/r4/202208_amlcft_faq/202208_amlcft_faq.pdf
犯罪収益であると疎明できないものの、資金の実態が不明な場合には、本ガイドラインⅡ-2(3)(ⅱ)【対応が求められる事項】⑪にある「自らが定める適切な顧客管理を実施できない」ものと判断しても問題ないでしょうか。
ご指摘の事情は、マネロン・テロ資金供与リスクを高める一要素になり得るものと考えますが、「自らが定める適切な顧客管理を実施できない」場合に該当するかどうかについては、各金融機関等の方針や顧客のリスク等に応じて、個別具体的に判断されることになります。また、判断に当たっては、マネロン・テロ資金供与対策の名目のみを理由とし、合理的な理由なく謝絶することなく、預金規定等の内容等、顧客との契約関係に照らして、総合的に判断される必要があると考えられます。
金融庁
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「合理的な理由なく謝絶等を行わないこと」とありますが、「合理的な理由」の判断は、各金融機関等が、本ガイドライン等を踏まえ、リスクベースで判断して問題ないと考えて良いでしょうか。
「合理的な理由」が存在するか否かについては、預金規定の内容等、顧客との契約関係に照らして、個々の顧客の事情・特性・取引関係やリスク管理に必要な情報が収集することができるかといった点等を踏まえ、各金融機関等において、個別具体的に丁寧に検討する必要があると考えております。そして、個々の顧客の事情・特性・取引関係やリスク管理に必要な情報について、可能な限り収集し、これ以上手段を尽くすことが困難な状況になった場合、当該顧客に対してどのような制限を行うことが必要かということを、リスクに応じて、総合的に検討することが考えられます。実際にリスク遮断を行うに当たっては、適切な調査を行い、当該調査の過程及び結果を適切に保存した上、金融機関等において適切な手続を経ることが必要と考えられます。また、リスク遮断の内容についても、個々の顧客の事情・特性・取引関係やリスク管理に必要な情報のうち収集できないもの等に応じて整理をすることが必要と考えられます。こうした調査、記録の保存、手続、リスク遮断の内容については、適切に規程等に定めることが必要と考えられます。
金融庁
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「団体」や「団体が形成しているグループ」とは、どのような組織を念頭に置けば良いのでしょうか。
ガイドラインにおいて、顧客属性も考慮した上で顧客リスク評価をすることを求めているところ、顧客属性は、顧客の所属する集団(例えば、顧客が反社会的勢力に属するものでないか、フロント企業に属するものでないかなど)の性質をも勘案して判断される必要があります。これと同様に、団体の顧客についてもその団体が所属する、あるいはその団体が形成しているより大きな集団の性質等も踏まえて、顧客リスク評価が実施されることが重要であると考えています。本項目は、こうした趣旨に基づくものですので、まず、「団体」及び「団体が形成しているグループ」の範囲については、機械的に判断されるものではなく、当該「団体」及び「グループ」自体の性質や、「団体」がある「グループ」内で有する地位や影響力等に応じて、個別具体的に判断する必要があります。したがって、「団体」は法人に限定されるものではなく、法人格なき社団も含む概念です。このほか、例えば、法人格がなく、かつ、統一的な意思決定機関が存在しないため、いわゆる法人格なき社団に該当しないような集団についても、「団体」と評価する余地があります。また、「団体が形成しているグループ」の範囲についても、資本関係や契約や合意等一定の取決めの有無にとらわれることなく、リスクに応じて捉える必要があり、(連結)子会社や持分法適用会社といった持分割合によって機械的に判断されるものではありません。例えば、顧客と資本関係のない者(顧客以外の者)が合弁会社を設立している場合において、当該顧客以外の者のリスクが高いと判断される場合には、当該顧客の顧客リスク評価にこうした事情を反映させることが考えられます。また、顧客の実質的支配者がリスクの高い顧客の実質的支配者と同一であるような場合には、当該顧客と当該高リスク顧客はグループを形成していると捉える余地があるものと考えます。いずれにしても、顧客の実態把握を進め、顧客に関連する事情を十分考慮して顧客リスク評価を行っていただくことが重要であるものと考えます。
金融庁
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「グループ全体としてのマネロン・テロ資金供与リスクを勘案すること」について、具体的にどのようなことを想定しているのでしょうか。
団体のリスク評価に当たっては、当該団体のみならず、実質的支配者が同一の自然人や配偶者である場合や資本関係や一定の法的取決めに基づく関係等を有する団体も紐づけし、グループ全体としてのマネロン・テロ資金供与リスクについて勘案することを求めています。具体的には、グループのうち顧客のリスク評価に重大な影響を及ぼし得る先(制裁対象国周辺地域と取引を行っている先等)がある場合に、そのリスクも踏まえて当該団体のリスク評価をするということを想定しております。
金融庁
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取引の「モニタリング」と「フィルタリング」のそれぞれの定義、両者の区別を教えてください。
本ガイドラインにおいては、「取引モニタリング」とは、過去の取引パターン等と比較して異常取引の検知、調査、判断等を通じて疑わしい取引の届出を行いつつ、当該顧客のリスク評価に反映させることを通じてリスクを低減させる手法をいいます。他方、「取引フィルタリング」とは、取引前やリストが更新された場合等に、取引関係者や既存顧客等について反社会的勢力や制裁対象者等のリストとの照合を行うことなどを通じて、反社会的勢力等による取引を未然に防止することで、リスクを低減させる手法をいいます。
金融庁
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「自らのリスク評価を反映したシナリオ・敷居値等の抽出基準を設定すること」について、具体的にどのようなことが求められているのでしょうか。
取引モニタリングに当たっては、画一的なシナリオや敷居値によって不公正取引の疑いがある取引を検知するのではなく、リスクに応じて、適用するシナリオや敷居値を異にする対応を求めています。例えば、高リスク顧客に対するシナリオと低リスク顧客に対するシナリオを、リスクに応じてそれぞれ適用するなど、画一的なシナリオ適用にならないように求めているものです。ただし、適用するシナリオを、全てリスクに応じて専用シナリオに変更しなければならないわけではなく、画一的に適用する基本シナリオと一部リスクに応じた専用シナリオを適用するという対応も可能と考えます。なお、上記内容を実現するための検討、検証期間は必要と考えられますので、適切な計画を策定した上、当該検討等を実施すること、シナリオや敷居値の有効性について、定期的に見直しを行うことが重要であると考えます。
金融庁
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「取引の特徴(業種・地域等)や現行の抽出基準(シナリオ・敷居値等)の有効性を分析し、シナリオ・敷居値等の抽出基準について改善を図ること」について、具体的にどのようなことが求められているのでしょうか。
取引モニタリングで検知した取引、疑わしい取引の届出に至った取引について、共通した取引の特徴(業種・地域等)及び抽出基準(シナリオ・敷居値等)を確認することに加えて、より多くの疑わしい取引の届出につながった取引の特徴や抽出基準とそれ以外を特定し、有効な取引の特徴や抽出基準の改善余地の検証、それ以外については、有効なものと同様に改善の余地がないか検証をするとともに、誤検知率を踏まえ、廃止する必要性の検討を実施し、より有効な取引の形態、抽出基準を特定する取組みを継続的に実施することが求められています。また、抽出基準の有効性の検証に当たっては、捜査機関等から凍結要請のあった口座の取引についてアラートが生成されていなかった場合に、その理由を検証し、必要に応じて抽出基準を見直すことも考えられます。そのほか、同一パターンの誤検知について、一定期間検知しないような手法(サプレッション)も考えられます。なお、サプレッションを導入する場合には、その設定において、顧客属性の変化や時間の経過とともに、本来検知すべきものが検知されないような設定になっていないかなど、その適切性について定期的に検証することが必要です。
金融庁
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「取引フィルタリングに関する適切な体制」とは、どのようなことを想定しているのでしょうか。
例えば、制裁対象者や制裁対象地域について、アルファベットで複数の表記方法があり得る場合には、スペリングの違いについて幅をもって検索できる「あいまい検索機能」の適切な設定に加えて、制裁リストに複数の名称を登録することのほか、他の顧客の継続的顧客管理措置や取引モニタリング、取引フィルタリング、疑わしい取引の届出調査の過程で把握した情報や公知情報等から入手した取引不可先情報や、システム的に検知し深堀調査を行うためのキーワード等(制裁対象国・地域や制裁対象者でないものの、リスクの高い特定の国・地域名や氏名、団体名等)を金融機関独自の照合リストに追加することなどにより、制裁対象取引に関するリスク管理やリスクに応じた調査を適切に行うことなどが含まれると考えます。
金融庁
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「制裁対象の検知基準がリスクに応じた適切な設定となっている」とはどのようなことを想定しているのでしょうか。
取扱業務や顧客層を踏まえて、取引フィルタリングシステムのあいまい検索機能の設定を適切に行うよう、定期的に調整することを想定しています。
金融庁
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「遅滞なく照合する」について、具体的にどのようなことが求められているのでしょうか。
国際連合安全保障理事会決議等で経済制裁対象者等が指定された際には、金融機関等は、数時間、遅くとも 24 時間以内に自らの制裁リストに取り込み、取引フィルタリングを行い、各金融機関等において既存顧客との差分照合が直ちに実施される態勢を求めています。
金融庁
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「国内外の制裁に係る法規制等の遵守その他リスクに応じた必要な措置」について、具体的にどのようなことが求められているのでしょうか。
国内の制裁については、法令等遵守と同様の対応が必要と考えられ、未然防止措置を講ずる必要があります。国外の制裁に関しては、取引関係者や決済に利用される通貨等を踏まえ制裁適用の要件を十分に確認し、必要な対応を検討することが求められており、金融機関等自らのリスク評価に従い、特に、取引量、営業地域や経営戦略を踏まえて、適宜適切に未然防止措置を講ずることが考えられます。なお、国外の制裁については、制裁適用の要件を十分に確認し、必要な対応を検討することが求められます。
金融庁
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「本人確認資料等の証跡のほか、顧客との取引・照会等の記録等、適切なマネロン・テロ資金供与対策の実施に必要な記録」とは、どのようなものを指すか教えてください。
犯収法により作成が求められる確認記録(第6条)、取引記録(第7条)、本ガイドラインⅡ-2(3)(ⅶ)【対応が求められる事項】③イ、ロ及びハに記載する事項に関する記録、顧客との取引経緯の記録等、金融機関等におけるマネロン・テロ資金供与リスク管理に必要な全ての記録を指します。
金融庁
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記録の保存の方法は、電磁的記録による保存でも良いでしょうか。また、保存期間について、顧客の属性やリスク等に応じて判断するという理解で良いでしょうか。
記録の保存の方法は、電磁的記録による保存も含まれます。記録の保存期間については、一律に一定期間の保存を求める趣旨ではありませんが、関係法令に保存期間の定めがある記録については、当該保存期間に従う必要があります。いずれにせよ、関係法令による要請等を踏まえつつ、各金融機関等の規模や特性、顧客のリスク等に応じて、個別具体的に判断することになりますが、分析可能な形で整理するなど、適切に管理することが求められます。
金融庁
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疑わしい取引の「届出等の義務を果たすことは当然」とありますが、具体的にどのような義務があるのでしょうか。
特定業務に係る取引について、当該取引において収受した財産が犯罪による 収益である疑いがあるかどうか、又は顧客等が当該取引に関し組織的犯罪処罰 法第 10 条の罪若しくは麻薬特例法第6条の罪(いわゆるマネー・ローンダリン グ罪)に当たる行為を行っている疑いがあるかどうか(注)を判断し、これらの 疑いがあると認められる場合においては、速やかに、政令で定めるところにより、政令で定める事項を届け出る義務があります(犯収法第8条第1項、同法施行令 第 16 条)。また、上記届出を行おうとすること又は行ったことを顧客等又はその関係者に漏らすことは禁じられています(同法第8条第3項)。なお、捜査機関等からの捜査関係事項照会書や個別の要請に応じる場合であ っても、別途調査及び検討し、疑わしい取引に該当すると判断したものについて、疑わしい取引の届出を行う必要があります。(注)マネー・ローンダリング罪の前提犯罪には、詐欺、入管法違反、覚せい剤取締法違反等のほか、平成 29 年6月の組織的犯罪処罰法の改正によって前提犯罪の対象が拡大され、例えば、法人税法や所得税法等の各種税法違反も含まれていることについても、ご留意ください。
金融庁
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「法律に基づく義務を履行するほか、届出の状況等を自らのリスク管理態勢の強化にも必要に応じ活用すること」について、具体的にどのようなことが求められているのでしょうか。
犯収法上求められている疑わしい取引の届出義務の履行及び義務履行を適切に実施できる態勢整備等のみならず、疑わしい取引の届出を実施した取引について分析することに加え、金融機関等自らのリスク評価や取引モニタリングのシナリオ・敷居値に反映できるような情報を抽出し、リスク管理態勢の強化に活用することが求められます。また、疑わしい取引の検知に際しては、システムによる検知のほか、顧客から取引の申込を受け付ける職員等の気づきも重要となるため、疑わしい取引の届出を実施した取引の分析結果や疑わしい取引の事例等を職員等に定期的に還元するなどして、職員等が不審・不自然な取引等を検知し、本部に報告することができるような態勢の構築が必要であるものと考えます。そのほか、検知から届出までの時間の管理及び効率化、誤検知率を低下させるためのシナリオの見直しや取引モニタリングの有効性の検証等の取組み等も必要と考えます。
金融庁
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「疑わしい顧客や取引等を的確に検知・監視・分析する態勢を構築すること」について、具体的にどのようなことが求められているのでしょうか。
金融機関等の規模・特性も含め、業務内容に応じて、疑わしい取引の参考事例を参照しつつ、疑わしい顧客や取引等について、第1線や第2線において的確に検知・監視・分析できる態勢の構築が求められており、顧客数や取引量等を勘案し、必要に応じて、適切なシステムの活用も検討することを求めています。
金融庁
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「疑わしい取引の該当性について、国によるリスク評価の結果のほか、疑わしい取引の参考事例、自らの過去の疑わしい取引の届出事例等も踏まえつつ、外国 PEPs 該当性、顧客属性、当該顧客が行っている事業、顧客属性・事業に照らした取引金額・回数等の取引態様、取引に係る国・地域その他の事情を考慮する」とされていますが、挙げられている項目の全てを考慮する必要があるのでしょうか。
基本的には列挙されている各項目全てを考慮して届出の要否を検討することが必要になると考えます(なお、犯収法第8条第2項及び同法施行規則第 26 条各号の各項目を考慮することも、法令上の対応として求められます。)。したがって、国によるリスク評価の結果のほか、疑わしい取引の参考事例、自らの過去の疑わしい取引の届出事例等も踏まえつつ、外国 PEPs 該当性、顧客属性、当該顧客が行っている事業、顧客属性・事業に照らした取引金額・回数等の取引態様、取引に係る国・地域その他の事情全て考慮するためのプロセス、情報の活用に必要なデータベースの整備も必要になると考えられます。
金融庁
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「取引区分に応じて、疑わしい取引の該当性の確認・判断を適切に行うこと」について、具体的にどのようなことが求められているのでしょうか。
顧客の商流や取引形態を把握し、取引区分の違いに応じて、疑わしい取引の該当性を検討し、届出の要否について判断することが求められます。例えば、既存顧客が通常利用する店舗とは異なる店舗や、通常 ATM を利用する地域とは異なる地域の ATM を利用して取引を行おうとする場合等、他店取引を行おうとする場合には、当該顧客が通常利用する店舗において、普段行う取引を行う場合と比べ、リスクが高いと考えられるため、その理由を十分に確認し、疑わしい取引でないか慎重に検討することが考えられます。こうした対応を実施できるようにするためには、当該顧客の通常利用する店舗や、通常利用する取引、当該顧客の取引目的については、リスクベースで把握することが必要であると考えられます。
金融庁
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疑わしい取引の届出を「直ちに行う態勢」の「直ちに」とはどのようなことが求められているのか具体的に教えてください。
疑わしい取引の届出は、ある取引について実際に疑わしい取引に該当すると判断した場合には、即座に行われることが望ましいものと考えます。例えば、疑わしい取引に該当すると判断した取引について、1か月に1回決まった日にまとめて届出を行うといった対応は、適切ではないものと考えます。したがって、「直ちに行う態勢を構築」しているといえるためには、ある取引について疑わしい取引に該当するものと判断した後、即座に届出を行う手続を開始する態勢を構築することが求められます。なお、ある取引について、疑わしい取引に該当すると判断する前段階において、取引モニタリングで検知されるなどの疑わしい取引に該当することが疑われる 場合に、どの程度の期間で検証・届出をすべきかについては、取引の複雑性等に 応じて必要な調査期間も踏まえつつ、個別取引ごとに判断されることになりま すが、疑わしい取引の検知から届出まで1か月以内で実施できることが望まし いものと考えます。
金融庁
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「実際に疑わしい取引の届出を行った取引についてリスク低減措置の実効性を検証し、必要に応じて同種の類型に適用される低減措置を見直すこと」について、具体的にどのようなことが求められているのでしょうか。
疑わしい取引として届出した場合、的確に届出義務を履行するだけでなく、同種の類型の取引について、リスク低減措置が適切に機能しているのか、取引を行うに際して追加的に調査を行う必要があるか、疑わしい取引の届出の検討対象としているかなどについて事後的に検証し、検証結果を踏まえて、当該リスク低減措置について見直す必要性があるか、その場合には、どのような対応が必要かといった観点で検討を実施し、必要に応じて見直すことを求めています。
金融庁
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「疑わしい取引の届出を契機にリスクが高いと判断した顧客」とありますが、届出を提出した顧客については、高リスク先として管理しなければいけないのでしょうか。
疑わしい取引として届出がなされた場合、金融機関等は、当該顧客との取引において収受した財産が犯罪による収益であるとの疑いが認められる以上、届出実施後に当該顧客の顧客リスク評価を実施・見直す必要があります。この見直した顧客リスク評価の結果に基づいて、リスクに見合った低減措置を実施するよう求めており、一律に高リスクとして管理するように求めているわけではありませんが、制度の性質上、リスクが高いと判断することが一般的であると考えます。
金融庁
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業務規模・特性等次第ではIT システムの導入まではしなくて良いという理解で良いでしょうか。また、どのような場合に、IT システムの活用が求められるのでしょうか。
ITシステムについては、各金融機関等において、自らの業務規模・特性等に応じて、導入の必要性及び導入すべきITシステムの機能等を検討することが求められます。他方で、金融機関の業務の実態によっては、ITシステムの積極的活用により適切なリスク管理が強く求められる場合があります。例えば、インターネット等を活用した非対面取引が大宗を占める金融機関等や取引量等に鑑みて従業員の手作業のみによって確認することが困難である場合は、リスク管理に必要な顧客情報の取得やその情報の質の管理については、そうでない金融機関等と比して、厳格な体制が求められる可能性がある点に留意する必要があります。こうした事業が急速に拡大しているときには、マネロン・テロ資金供与リスクが経営戦略を策定した際に想定していたもの以上に拡大している可能性があることについて、 経営陣の慎重な判断が必要となります。
金融庁
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「経営陣は、マネロン・テロ資金供与のリスク管理に係る業務負担を分析し、より効率的効果的かつ迅速に行うために、IT システムの活用の可能性を検討すること」について、具体的にどのようなことが求められているのでしょうか。
経営陣においては、所管部門等から、マネロン・テロ資金供与対策に係る業務負担の報告を受けることなどにより、適宜適切に把握し、IT システムを活用することで、有効性の向上及び業務の効率化が図られ、効果的かつ迅速に対応できると判断される場合においては、IT システムの活用を検討することが求められています。
金融庁
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「定期的に検証」とありますが、誰が、どのように実施することを想定しているのでしょうか。
例えば、第3線の内部監査部門が独立した立場から実施することや外部知見の活用が考えられますが、定期的な有効性検証の主体については、各金融機関等の組織構造等に応じて、個別具体的に判断することになります。また、実施方法については、例えば、取引モニタリングシステムにおけるシナリオ・敷居値等について、誤検知率や誤検知の内容等も踏まえた上で、各金融機関等の業務やリスクの特性を的確に捉えているかを検証することが考えられます。いずれにしても、IT システムの有効性の検証については、各金融機関等の規模や特性等に応じて、個別具体的に判断する必要があります。
金融庁
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独立した検証は、内部・外部監査の両方を実施することではなく、どちらかを実施するという理解で良いでしょうか。
内部監査と外部監査のいずれか一方を実施するべきか、あるいはその双方を 実施するべきかについては、各金融機関等の内部監査の位置付け、組織構造、各 金融機関等のリスクの状況、内部監査の能力、検証課題等に応じて、個別具体的 に判断されることになります。また、外部専門家等の知見を活用することもあり、その際、マネロン・テロ資金供与リスクはその発生形態やリスクの増加等の変化 が激しいことから、必要に応じて外部の知見を活用することが有効であること を考慮する必要があります。
金融庁
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内部・外部監査等による IT システムの有効性の検証ポイントとして、具体的にどのようなものを想定しているのでしょうか。
例えば、取引モニタリングシステムにおけるシナリオ・敷居値等が、各金融機関等の業務やリスクの特性を的確に捉えているか、当該システムで検知された事項が的確に営業部門や管理部門等におけるモニタリングのプロセスに組み込まれているか、取引フィルタリングシステムが、入力された人名や地名のスペルに慣用的な違いがあったとしても適切に検知できる設定になっているかなど、様々なものが考えられます。いずれにせよ、IT システムの有効性の検証については、各金融機関等の規模や特性等に応じて、個別具体的に判断する必要があります。
金融庁
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「自らの取引の特徴やそれに伴うリスク等について分析」について、具体的にどのようなことが求められているのでしょうか。
IT システムの活用に当たり、外部委託する場合や共同システムを利用する場合に、自らの取引の特徴やリスク等に照らして、外部委託することや共同システムを利用することが適切であるか、追加的な対応が必要ではないかという観点から、金融機関等において検討することを求めているものです。自らの検討なくして、金融機関等が、自らの規模、ビジネスモデル、顧客層、取引の特徴やリスク等に適合しない IT システムを導入することのないよう、注意喚起する趣旨です。
金融庁
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データを「分析可能な形で整理」することに関して、留意すべき事項を教えてください。
マネロン・テロ資金供与対策に必要な情報を特定した上、特にシステム対応に必要なデータがデータベース化(用途に応じて任意のデータを呼び出すことが可能となっている状態を意味します。)されていることが求められます。
金融庁
https://www.fsa.go.jp/news/r4/202208_amlcft_faq/202208_amlcft_faq.pdf
犯収法における確認記録・取引記録の作成・保存義務を超えて、データベースによる管理が求められているのでしょうか。
本ガイドラインに記載のとおり、金融機関等においては、関係法令等を遵守して、確認記録・取引記録等を正確に記録するほか、IT システムを有効に活用する前提として、データを正確に把握・蓄積し、分析可能な形で整理するなど、データの適切な管理を行うことを求めるものです。そのため、例えば、顧客数や取引の数が限定的であり、IT システムを活用する必要がなく、マニュアルで十分管理できる場合等において、確認記録・取引記録をデータベースで管理することまでを求めるものではありません。
金融庁
https://www.fsa.go.jp/news/r4/202208_amlcft_faq/202208_amlcft_faq.pdf
「網羅性・正確性の観点で適切なデータが活用されているかを定期的に検証すること」との記載がありますが、「検証」に当たってはどのようなことに留意することが求められるのでしょうか。
「検証」の具体的手法や留意点については、各金融機関等において、規模や特性、顧客のリスク等に応じて、個別具体的に判断されることになります。例えば、システムと突合するデータの検証に関して、取引モニタリングについては、取引のデータ及び顧客のデータが正確かつ網羅的であるかを検証することが求められ、取引フィルタリングについては、取引のデータが、それぞれ、正確かつ網羅的であるかを検証することが求められます。また、データを活用する前提として、取引モニタリングについてはシナリオが適切であるか、取引フィルタリングについては、リスト自体が最新かつ適切であるか、という観点の検証も求められます。
金融庁
https://www.fsa.go.jp/news/r4/202208_amlcft_faq/202208_amlcft_faq.pdf
「IT システムに用いられる顧客情報(中略)適切なデータが活用されているかを定期的に検証すること」について、検証は誰が行うことを想定しているか教えてください。
定期的な検証の主体については、コンプライアンス部門やリスク管理部門等が中心となって第2線の関係部門が行う検証や、内部監査部門が第3線として独立した立場から行う検証等が考えられ、各金融機関等の規模や組織構造等に応じて、個別具体的に判断されることとなります。
金融庁
https://www.fsa.go.jp/news/r4/202208_amlcft_faq/202208_amlcft_faq.pdf
「以下を含む情報を把握・蓄積し、(中略)必要に応じて当局等に提出できる態勢」とありますが、どのような情報及びどの程度の期間での提出を想定しているか教えてください。
把握・蓄積する情報については、リスクの評価や低減措置の実効性の検証等に用いることが可能なものであり、本ガイドラインⅡ-2(3)(ⅶ)【対応が求められる事項】③イ~ハに定める情報のほか、例えば、電信送金における送金人情報(個人の場合は氏名・住所・生年月日及び口座番号又は取引識別番号、法人の場合は名称、所在地及び口座番号又は取引識別番号等)や、疑わしい取引の検知から届出までの期間と判断から届出までの期間、検知したものの疑わしい取引に該当しないと判断した取引情報等が考えられます。これは、各金融機関等の定期及び随時のリスク評価に利用されることが想定される情報であり、必要に応じて速やかに当局等に提出が可能である態勢を想定しています。
金融庁
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「関係する資格」とはどのようなものを想定しているのでしょうか。外部団体が付与する資格に限定されず、社内で実施する試験に関する社内資格も含まれるのでしょうか。
「関係する資格の取得状況」における「関係する資格」とは、一般的には、外部団体や業界団体が付与する資格のほか、社内で取得が慫慂されている社内資格等も含まれ得るものと考えます。
金融庁
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「金融機関等には、コルレス先や業務委託先等に対して、自らのリスク管理態勢や低減措置等の状況を適切に説明することが必要となる場面も考えられる」とありますが、具体的にどのような内容を説明することを想定しているのでしょうか。
例えば、リスク評価書に記載されているリスク管理態勢全般の内容のうち、管理の考え方や手続といった他社に開示することが不適切なもの(例えば、共有の同意のない顧客情報等)以外の情報をコルレス先に開示することなどを含め、自らが直面しているリスクの管理態勢や、低減措置等の内容を説明することを想定しています。
金融庁
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海外送金等における送金人又は受取人の顧客として、真の送金人や受取人が存在する場合について、留意すべき事項を教えてください。
海外送金等における送金人又は受取人の顧客として、送金依頼書等の依頼人名といった名義上のものではなく、真の送金人や受取人が存在することが判明した場合には、取引時確認等の結果に基づく真の送金人・受取人のリスクを踏まえた上で、送金人・受取人の属性の調査や取引モニタリングを実施するなど、当該リスクに応じた措置を講ずる必要があります。また、顧客による送金の資金原資が、第三者の資金を基にしている場合には、当該顧客の業務実態や取引目的等を調査した上で、リスクに応じて当該顧客のマネロン・テロ資金供与リスク管理態勢を検証するなど、リスクに応じた対応が必要となると考えます。
金融庁
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「仕向・中継金融機関等が、送金人及び受取人の情報を国際的な標準も踏まえて中継・被仕向金融機関等に伝達」とありますが、この「国際的な標準」について、具体的に教えてください。また、伝達する送金人及び受取人の情報については、どのようなものが想定されているのでしょうか。
外国送金における「国際的な標準」とは、FATF 勧告等を指しており、その基準を踏まえて SWIFT 等において、送金人や受取人の情報を適切に通知する態勢を整えることが重要です。送金人の情報については顧客に係る本人特定事項その他の事項であって主務省令で定めるもの(犯収法第 10 条及び同法施行規則第 31 条)、受取人の情報については①氏名、名称及び②取引に口座が使用されている場合には当該口座番号、口座が使用されていない場合には取引の追跡が可能な固有の記号番号を想定しています。
金融庁
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「送金人及び受取人」の「情報が欠落している場合等にリスクに応じた措置を講ずること」とありますが、どのような措置が想定されているのでしょうか。
例えば、送金人や受取人の情報が欠落した海外送金等について、取引実行前に仕向金融機関等に対して、欠落した情報の内容を確認することなどが考えられます。
金融庁
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「コルレス先におけるマネロン・テロ資金供与リスク管理態勢」の確認は、どのような方法が想定されているでしょうか。
例えば、国際金融取引に関する自主的な基準を設定している団体等が公表し、多くの国際的な金融機関等で利用されている質問票を利用したり、金融機関等において独自の質問票を策定・利用したりすることにより、マネロン・テロ資金供与に関する処分等の対象になっていないか、いわゆる「ペイアブル・スルー・アカウント」(注)へのコルレス先における対応方針がどのようなものかということを含め、コルレス先におけるマネロン・テロ資金供与リスク管理態勢を確認することを想定しています。なお、こうした確認の結果、特定及び評価されたコルレス先のリスクに応じた低減措置を講ずることが必要であり、例えば、コルレス先が「ペイアブル・スルー・アカウント」の取扱いを許容している場合には、リスクに応じた低減措置を講ずる必要性を検討する必要があります。(注)第三者(外国金融機関の顧客等)が自らのために直接使用することが可能なコルレス口座のこと。
金融庁
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「現地当局の監督のスタンス等」について、具体的にどのようなことが求められているのでしょうか。
金融機関等ごとに関係する現地当局は異なると考えますが、関係する現地当局の監督指針、処分内容・頻度等を踏まえた上で、各金融機関等においてリスク評価をすることを求めているものです。
金融庁
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「コルレス先や委託元金融機関等を監視して確認した情報等を踏まえ、リスク評価を見直すこと」について、具体的にどのようなことが求められているのでしょうか。
コルレス先や委託元金融機関等については、取引開始時に行ったリスク評価に応じた頻度での監視を行い、そこで得られた情報も加味してリスク評価の見直しをすることが求められます。また、マネロン・テロ資金供与リスクの高い取引を把握すること、コルレス先や委託元金融機関等にリスクが高まった具体的な事象等が発生した場合には、これまでの蓄積された情報を活用して、リスク評価の見直しを実施することが求められています。
金融庁
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リスク評価において特にリスクが高いと判断したコルレス先や委託元金融機関等へのモニタリングは、どのように行えば良いでしょうか。
当該コルレス先や委託元金融機関等に対しては、所定の質問票を送付・回収するにとどまらず、必要に応じ訪問あるいはリモートで、当該コルレス先や委託元金融機関等のマネロン・テロ資金供与リスク管理態勢についてヒアリングを実施し、所定の質問票への回答のみからは把握できなかった業務実態の把握を進めることが考えられます。また、こうした面談の応対者の職務(第1線等の特定の部門やマネロン管理を担当するコンプライアンス部門)を拡大したり、職位を引き上げたりして対話を行うことなどにより、監視の程度を深めるなどしつつ、マネロン・テロ資金供与リスク管理態勢の実態を確認することが考えられます。
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「コルレス先が架空銀行であった場合又はコルレス先がその保有する口座を架空銀行に利用されることを許容していた場合、当該コルレス先との契約の締結・維持をしないこと」とは、どのような趣旨でしょうか。
コルレス先が架空銀行(シェルバンク)であった場合又はコルレス先がその保有する口座を架空銀行に利用されることを許容していた場合については、匿名性が高く、真の受益者や口座名義人が隠匿されている可能性が高いものとされていますので、コルレス先として不適格であり、コルレス契約を締結しない、又は解除することを明示しています。
金融庁
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「海外送金等に係る管理手法等」とは、取引時確認等が適切に行われているかといったことのほか、具体的にどのような監視項目を追加することが求められているのでしょうか。
当該他の金融機関等による海外送金等に係る取引時確認や確認記録の保存に限らず、例えば、送金受付時における送金目的や金額に不自然な点がなく、合理的か否かを検証するといった基本動作が適切に行われているか、また、リスクに応じた取引モニタリング・フィルタリングの方法等を含めたマネロン・テロ資金供与リスク管理手法が適切に運用されているかなどについて監視することを求めています。
金融庁
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「送金人及び受取人が自らの直接の顧客でない場合」とは、例えば、仕向送金の受取人や被仕向送金の送金人の他にどのようなケースを想定されているのでしょうか。
例えば、他の金融機関等から海外送金を受託している場合における、当該送金依頼人(当該他の金融機関等の顧客)や、中継金融機関等となっている場合における被仕向送金の受取人等を想定しています。また、送金業者が、真の送金依頼人名ではなく、送金業者名で送金しているケースを想定しています。このほか、金融機関等同士のバルク送金においても、リスクに応じて、真の送金人を確認する態勢について確認する必要のあるケースもあり得るものと考えています。
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「リスクに応じた厳格な顧客管理を行うことを必要に応じて検討する」とは、具体的にどのようなことが求められているのでしょうか。
委託先金融機関等は、コルレス先や委託元金融機関等の顧客について、詳細な顧客情報を持ち合わせておらず、コルレス先や委託元金融機関等に求められるものと同等の顧客管理は困難であるものの、継続的な取引関係の中で、一定の取引パターン、例えば、制裁対象国周辺地域などに頻繁に送金等を実施している場合や、リスクの高い取引の割合が多い場合等において、該当する取引を検知し、コルレス先や委託元金融機関等に対して、厳格な顧客管理措置の一環として、取引目的や営業実態等を確認させることや、自らの顧客でない委託元顧客の取引であっても、取引モニタリングシステムの対象とし、システム的に疑わしい取引に該当する可能性のある取引を検知することなど、コルレス先や委託元金融機関等を通じた厳格な顧客管理措置を実施する必要性について検討することを求めています。
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「当該海外送金等を自らのマネロン・テロ資金供与対策におけるリスクベース・アプローチの枠組みの下で位置付け」るとはどういうことが求められているのでしょうか。
自ら海外送金等を実行せず、他の金融機関等に委託等をする場合においても、自らの顧客が海外送金等の取引を行っていること自体を当該顧客の顧客リスク評価に反映させ、顧客リスク評価に応じた継続的顧客管理を実施するなど、当該顧客に対する自らのマネロン・テロ資金供与対策におけるリスクの特定・評価・低減の措置を実行することを求めています。
金融庁
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「輸出入取引等に係る資金の融通及び信用の供与等」とは具体的にどのような場合を想定しているのでしょうか。
「輸出入取引等に係る資金の融通及び信用の供与等」については、貿易活動に基づく債務不履行時の保証、履行保証、信用供与等で構成されるものであり、例えば、輸出手形の買取り・輸入信用状開設に加え、輸出信用状の確認等を想定しています。なお、輸出入に係る単純な代金決済に係る海外送金については、本ガイドラインのⅡ-2(4)(ⅰ)「海外送金等」をご確認ください。
金融庁
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「輸出入取引等に係る資金の融通及び信用の供与等に係るリスクの特定・評価に当たっては、輸出入取引に係る国・地域のリスクのみならず、取引等の対象となる商品、契約内容、輸送経路、利用する船舶等、取引関係者等(実質的支配者を含む)のリスクも勘案すること」とは、具体的にどのようなことが求められているのでしょうか。
輸出入取引等に係る資金の融通及び信用の供与等に係るリスクの特定・評価については、取引に関係する国・地域に対するリスクだけでなく、取引全体に対するリスクを勘案するように求めています。「商品」については、軍事転用可能なものでないかなどについて確認することになると考えます。「輸送経路」については、例えば、制裁対象国の瀬取りに利用されることがないかといった観点等から、必要な事項を考慮していただく必要があると考えますが、少なくとも、出港地、寄港地、中継地は確認していただく必要があるものと考えます。また、輸送経路を確認する中で、制裁対象国の付近を通過する場合には、制裁対象国が関与する取引でないかという観点から、制裁内容を確認し、制裁対象国・地域を通過していないかなどについても確認する必要がある場合もあり得るものと考えます。なお、取引先が貿易仲介業者等を利用している場合には、当該業者等を通じて、真の輸出者を確認するなど、必要な対応を実施することが考えられます。「利用する船舶等」については、船舶が制裁対象に該当しないか、船舶の所有者、オペレーターが制裁対象者に該当しないかといった観点から必要な事項を考慮する必要があるものと考えます。「取引関係者」については、輸出入取引に係る資金の融通及び信用の供与等のリスクの特定及び評価に必要な関係者について考慮していただく必要があるものと考えます。その関係者に実質的支配者が存在する場合には、当該実質的支配者についても考慮する必要があるものと考えます。もっとも、いわゆる KYCC という、顧客の顧客に対してまで金融機関等が本人確認手続や顧客リスク評価等を行うことを求めるものではありません。
金融庁
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輸出入取引等に係る資金の融通及び信用の供与等においてどのような場合に、どのような「IT システム・データベース」の活用を検討することが期待されているのでしょうか。
輸出入取引等に係る資金の融通及び信用の供与等において、制裁対象国との取引回避は最優先の課題であるところ、船舶等の寄港地や航跡の管理、AIS(注)情報のモニタリング、制裁対象リスト(船舶を含みます。)との照合等、金融機関等が実施すべき対応が多岐にわたり、マニュアルでの対応が困難と想定される場合等には、リスクに応じて、寄港地や航跡の管理や AIS 情報のモニタリングを効率的に実施できる IT システムや制裁対象リスト(船舶を含みます。)との照合を可能とするデータベースの活用を検討することが考えられます。(注)AIS(Automatic Identification System)とは、船舶の識別符号、種類、位置、針路、速力、航行状態及びその他の安全に関する情報を自動的に VHF 帯電波で送受信し、船舶局相互間及び船舶局と陸上局の航行船所施設等との間で情報の交換を行うシステムをいい、法令により一定の条件の下、船舶に設置が義務付けられているもの。
金融庁
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「マネロン・テロ資金供与対策に係る方針・手続・計画等」における「計画」とは何か教えてください。
個々の金融機関等のマネロン・テロ資金供与対策の実効性を高めるための内部管理態勢、監査、研修等の一連の計画を想定しています。例えば、本ガイドラインにおける【対応が求められる事項】と個々の金融機関等の現状とのギャップがある場合には、それを解消するための完了期限を付した行動計画も含まれます。なお、ここでいう「計画等」は、上記の趣旨を踏まえた有効なものであれば、「方針・手続」と併せて付属書類等として整備することも許容されるものと考えていますが、方針・手続・計画等は、それぞれ異なる文書で策定されることを想定しています。
金融庁
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「自らの業務分野・営業地域やマネロン・テロ資金供与に関する動向等を踏まえたリスクを勘案し」とは、具体的にどのようなことが求められているのでしょうか。
マネロン・テロ資金供与対策に係る方針・手続・計画等を策定するに当たっては、商品・サービス、国・地域、取引形態、顧客属性等を包括的かつ具体的に検証したリスク評価だけでなく、自らの業務分野・営業地域やマネロン・テロ資金供与に関して変化する要素や動向等も踏まえたリスクを勘案することが求められているということを明確化したものになります。
金融庁
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「リスクの特定・評価・低減のための方針・手続・計画等が実効的なものとなっているか、各部門・営業店等への監視等も踏まえつつ、不断に検証を行うこと」とは、具体的にどのようなことが求められているのでしょうか。
リスクの特定・評価・低減のための方針・手続・計画等については、金融機関等において、適切に遵守されることに加え、所管部署等による適切な牽制機能が発揮される必要があり、リスク傾向の変化等が把握された場合や運営上の課題等が認められた場合には、不断に検証を実施し、実効性を確保するよう求めたものとなります。したがって、方針・手続・計画等については、策定されただけでは不十分であって、組織的に、実効性を確保する検証や改善を継続的に実施していく必要があると考えます。
金融庁
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「リスク低減措置を講じてもなお残存するリスク」について、どのように検討すれば良いでしょうか。
残存リスクは、リスク低減措置によって各金融機関のリスク許容度の範囲内で可能な限り小さくすることが求められており、残存リスクが高いまま、その商品・サービスを継続させることは困難であるものと考えます。残存リスクがゼロになることはないことを前提にしつつも、高リスクから中リスク、中リスクから低リスクへとリスク低減措置の改善を図るため、疑わしい取引の届出の分析結果により敷居値やシナリオの改善等を行うなどしてリスク低減を図ることができないかを定期的に検証する機会を持ち、経営陣を含めて検討する必要があります。なお、取引開始後に反社会的勢力であると判明した顧客に対して、取引解消までの間、厳格な管理を行いつつ最低限の生活口座として存続させることを許容した場合の普通預金口座取引等は、リスク低減措置を講じてもなおリスクが残存する例の一つと考えられます。
金融庁
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「例えば、内部情報、内部通報、職員からの質疑等の情報も踏まえて」とありますが、リスク管理態勢の実効性の検証を行う際に、留意すべき事項について教えてください。
管理部門及び内部監査部門においてリスク管理態勢の実効性の検証を行う場合には、自らの個別具体的な事情を踏まえ、実効的な検証を行うために、様々な事情を考慮した上で検証項目を設定することが求められています。内部情報、内部通報、職員からの質疑等といった情報は、自らのリスク管理態勢が有効であるか(第1線にとって、実施が可能かつ容易かなど)を検証するための有用な情報となります(例えば、質問が多い事項については、ルールが分かりにくい可能性があり、記載方法を見直すことが考えられます。)。もっとも、これらの情報はあくまで例示であり、管理部門及び内部監査部門においては、様々な事情を考慮して、リスク管理態勢の有効性検証のきっかけとすることが必要と考えます。
金融庁
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「管理部門及び内部監査部門において、(中略)リスク管理態勢の実効性の検証を行う」とありますが、検証すべき具体的な事項を教えてください。
例えば、内部情報、内部通報、職員からの質疑等の情報を踏まえて、第1線におけるマネロン・テロ資金供与対策に係る方針・手続・計画等の遵守状況を確認するほか、疑わしい取引の届出状況を分析し、届出の多い取引類型に係る既存の手続の実効性を検証するなど、様々な事項が考えられます。いずれにせよ、マネロン・テロ資金供与リスク管理態勢に関する実効性検証については、各金融機関等の規模や特性等に応じて、個別具体的に検証項目を設定する必要があります。
金融庁
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「リスクの特定・評価・低減のための手法自体も含めた方針・手続・計画等や管理態勢等についても必要に応じ見直しを行うこと」とありますが、リスク管理態勢の実効性について検証を行った場合において、更なる改善の余地が認められた際には、問題が認められたリスク管理態勢についてのみ必要に応じて見直すだけで良いのでしょうか。
リスク管理態勢の実効性に問題が認められた場合には、問題の原因分析を実施し、適切な改善対応策を講ずる必要があると考えますが、それにとどまらず、リスク管理態勢の基礎であるリスクの特定・評価・低減についても見直しが必要となり、当然にその手法等についても、見直し等の対応が求められます。
金融庁
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外部専門家等によるレビューの対象として、どのようなものを想定しているのでしょうか。
例えば、マネロン・テロ資金供与対策に係る方針・手続・計画等の策定・実施・検証・見直し(PDCA)について助言を受けることや、国際的なマネロン・テロ資金供与対策に係る水準とのギャップ及び金融機関等における課題についてレビューを受けることが考えられますが、これらに限定されるものではありません。
金融庁
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「外部専門家等」とは、弁護士やコンサルタントを想定しているのでしょうか。
「外部専門家等」については、マネロン・テロ資金供与対策に係る専門的知見を有する者であれば、弁護士やコンサルタントも該当しますが、必ずしもこれらに限られるという趣旨ではありません。
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「経営陣の関与」とは、例えば、マネロン担当役員が、リスク評価の過程や、自らの組織内で定例的に開催する AML 委員会・コンプライアンス委員会等に関与することなどが考えられるという理解で良いでしょうか。
ご質問のような会議体等に参加し、議論を行うことも経営陣の関与のあり方の1つですが、経営陣による関与の態様は、これに限られません。経営陣の役割として、マネロン・テロ資金供与リスクが経営上の重大なリスクになりかねないことを的確に認識し、取締役会等において、マネロン・テロ資金供与対策を経営戦略等における重要な課題の1つとして位置付けることや、経営陣の責任において組織横断的な枠組みを構築し、戦略的な人材確保(IT システム、データ分析の専門家等を含みます。)・教育・資源配分等を実施することが考えられます。
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「マネロン・テロ資金供与対策を経営戦略等における重要な課題の一つとして位置付けること」とは、具体的にどのようなことが求められているのでしょうか。
マネロン・テロ資金供与対策を経営戦略等における重要な課題の1つとして組織内外に浸透させ、実効性を確保するための各種諸施策を講ずることが求められます。経営陣としては、これら各種諸施策が適切に実施され、不断の見直し等が実施されていることを把握しつつ、組織としての対応が確保されていることを確認する必要があると考えられます。
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当該項目における「役員」の定義について教えてください。
本ガイドラインⅢ-2【対応が求められる事項】②における「役員」とは、会社法上の取締役その他これに準ずる地位にある者を意味します(いわゆる執行役員等、会社法上の役員に該当しない者であっても「役員」に該当し得ま す。)が、経営会議等組織の方針を決定する権限のある会議体における発言権及び議決権を有する者であることを要します。いずれにせよ、各金融機関等においては、その規模や組織構造等に応じて、マネロン・テロ資金供与対策に係る責任を果たすことができる者を任命し、職務を全うするに足る必要な権限等を付与することが求められます。
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「役員の中から、マネロン・テロ資金供与対策に係る責任を担う者を任命し」とありますが、リスク対策を担う役員を第1線に周知することも踏まえ、マネロン担当役員等を組織上明確にする方が良いでしょうか。
ガイドライン本文において記載しているとおり、役員の中から、マネロン・テロ資金供与対策に係る責任を担う者を任命し、職務を全うするに足る必要な権限等を付与し、 当該役員に対し、必要な情報が適時・適切に提供され、当該役員が金融機関等におけるマネロン・テロ資金供与対策について内外に説明できる態勢を構築することが必要と考えます。また、「マネロン・テロ資金供与対策に係る責任を担う者」については、組織図に明記したり、ディスクロージャー誌や年次報告書といった対外公表文書にも記載したりするなど、組織の内外に周知されることが望ましいものと考えます。
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「当該役員に対し、必要な情報が適時・適切に提供され、当該役員が金融機関等におけるマネロン・テロ資金供与対策について内外に説明できる態勢を構築すること」とありますが、具体的に留意することがあれば教えてください。
マネロン・テロ資金供与対策に係る責任を担う役員においては、組織横断的に実行しているマネロン・テロ資金供与対策の内容、自らの現状と課題、直面するリスク内容等について、最低限、説明を求められた際に適切に説明できる必要があると考えますが、その他マネロン・テロ資金供与対策全てについて、把握するよう不断の努力が必要であると考えます。なお、マネロン・テロ資金供与対策の内容等については、ディスクロージャー 誌や年次報告書といった対外公表文書にも記載するなどの対応も考えられます。
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「マネロン・テロ資金供与対策の重要性を踏まえた上で、所管部門への専門性を有する人材の配置及び必要な予算の配分等、適切な資源配分を行うこと」とありますが、具体的にどのような点に留意することが求められていますか。
マネロン・テロ資金供与対策の所管部門に対して、専門性を有する人材を適切に配置し、必要な予算配分をするだけでなく、組織全体のマネロン・テロ資金供与対策の高度化のため、所管部門以外についても、人材育成、人材配置において配慮するなど、金融機関等におけるマネロン・テロ資金供与対策が持続可能であり、かつ、高度化させるための資源配分も求められていると考えます。
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「マネロン・テロ資金供与対策に関わる役員・部門間での連携の枠組みを構築すること」とありますが、具体的に留意することがあれば教えてください。
マネロン・テロ資金供与対策は、全社的な取組みが必要であることから、関係する役員や部門長等においては、定期的に情報交換等を実施する会議体を設置したり、連絡担当者を配置したりするなど、各役員間、部門間で発生する利害対立を円滑に解決するための枠組みをあらかじめ用意しておくことは有効であると考えます。
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「経営陣の主導的な関与」とありますが、具体的にどのようなことが求められているのでしょうか。
「経営陣の主導的な関与」とは、全てを経営陣が実行することを求めるものではありません。経営陣が、マネロン・テロ資金供与対策を全社的に取り組むに当たって、円滑かつ効率的に同対策が実施できるよう、必要な連携の枠組みや所管部署等に対する権限、人材の配置等、実際に各施策を実施する部署等に対する支援を適切に実行することが重要であり、その一環として、経営陣において承認、議論が必要な場合には適切に対応する必要があることを明確化したものです。
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「職員へのマネロン・テロ資金供与対策に関する研修等につき、自ら参加するなど、積極的に関与すること」とありますが、具体的に留意することがあれば教えてください。
職員へのマネロン・テロ資金供与対策に関する研修に経営陣が参加し、幅広い知識等を獲得することに加えて、経営陣向けのマネロン・テロ資金供与対策に関する研修を実施することや、その旨を社内に周知するなど、経営陣により多くの研修の機会を提供することも重要であると考えます。
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